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ブライト FOCUS (3)
  
タイトル5 UI(ユーザインタフェース)関連発明の出願傾向
 2005年2月1日、東京地裁は、ジャストシステムが松下電器産業の特許を侵害していると認め、ワープロソフト「一太郎」、グラフィックソフト「花子」の製造・販売の差し止めと廃棄を命じました。松下電器産業の問題の特許(特許番号第2803236号、「情報処理装置及び情報処理方法」)は、ヘルプ機能を担うアイコンをクリックした後、他のアイコンをクリックすると、そのクリックされたアイコンの機能説明を表示するといったGUI(Graphical User Interface)に関するものです。
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 そこで今回は、このようなGUIを含む、UI関連発明の特許出願について、その傾向を探ってみました。
T.UI関連発明の出願件数の推移
(1) 下のグラフは、UI関連発明の特許出願について、公知年ごとの件数を表したものです。ほとんどの特許出願は、その出願から約1年半経過した後に行われる出願公開によって公知となりますので、出願日ベースで見た件数の推移は、グラフの年をそれぞれ1年半差し引いて考えることにより(概略ですが)把握できます。また今回、UI関連発明は、特許庁により、「デジタル計算機のユーザインタフェイス」として分類されたものとしました。近年のユーザインタフェースは、ほとんどGUIに関連するものと推測されますが、上記分類から明確にこれらを区別することはできませんでした。
(2) 下のグラフを見ると、10年以上も前から、UI関連発明の出願が盛んに行われてきたことが分かります。近年の出願件数は、減少傾向にありますが、今回のジャストシステムと松下電器産業の訴訟によって、GUI関連発明が大きな注目を集めることになったので、今後の出願件数が増加に転じる可能性もあります。今や、GUIは、ソフトウエアを使用するのに無くてはならない要素となっている一方で、外見上容易に侵害の有無を判断できるという特性を有しています。今回の訴訟によって、GUI技術保護の必要性を再認識したところも多いのではないでしょうか。
グラフ1
注1) 特許庁の分類は、Fタームを用い、テーマコードは「5E501」です。当該テーマは、さらに機器別の分類を有していますが、ここでは、「パーソナルコンピュータ(ノート型含む)」、「携帯情報機器/PDA」、「端末」、および「ワープロ」をカウントの対象としました。
注2) 対象は、公開番号昭46-000001 〜 2005-087000の出願であり、公知日が2005/03/31のものまでです。このページの他のグラフについても同様です。
 
U.入力イベント別の出願件数
(1) 下のグラフは、主にコンピュータが動作を起こすきっかけとなる手動動作(入力イベント)の観点で、UI関連発明の出願を分類した結果を示すものです。手動動作は、たとえば、マウス等により入力するイベントを指します。
(2) クリックが圧倒的に多いことが分かります。このことから、「特許による保護を求めるUIは、クリックを入力イベントとするものが多い」ということが言えます。また、このようなクリックを入力イベントとするUIは、GUIであるということが言えるでしょう。クリックに次いで多いのは、入力操作とドラッグに関する出願です。
グラフ2
注3) 入力イベントを観点とした分類は、テーマコード「5E501」のうち、Fタームコード「EA02」〜「EA08」のものをカウントすることにより把握できます。
 
V.入力イベント場所別の出願件数
(1) 上の円グラフに示したそれぞれの入力イベントが、動作をする場所という観点でUI関連発明の出願を分類すると、下のようなグラフになります。
(2) このグラフを見ると、ボタン上、アイコン上でのイベント動作が過半数を占めていることが分かります。これは、我々が通常使用するソフトウエアの実態ともよく合致しているように思われます。
(3) 入力イベント別の分類と、入力イベント場所別の分類を組み合わせて、その傾向を把握することもできます(ここでは省略します)。たとえば、上述の松下電器産業の特許に対応する公開公報(特開平03−144719)は、実際には、入力イベントが「ドラッグ」で、入力イベント場所が「アイコン上」というように分類されています。
グラフ3
注4) 入力イベントの動作場所を観点とした分類は、テーマコード「5E501」のうち、Fタームコード「EA10」〜「EA18」のものをカウントすることにより把握できます。
 
W.UIの目的別出願件数
(1) 下のグラフは、UI関連発明の目的別に出願件数をまとめたものです。このグラフから、「操作性向上」を目的とするものが約半数を占め、次に多いのが、「視認性向上」となっていることが分かります。
(2) ウインドウズのGUI開発が本格的になってきた1990年4月からの5年間と、直近の5年間(2000年4月からの5年間)に公知となった出願の件数を比較すると、「高速化」を目的とした発明の出願が、件数で約1/3に(705件−>241件)、全体に占める割合で約1/4.5に(9.0%−>2.1%)に減少している点が目立ちます。このことは(あくまで推測ですが)、近年のCPUの高性能化等により、GUIを開発する際に、もはや「高速化」が改良のテーマになっていないことを示しているものと考えられます。
(3) また、同じ期間における比較では、「視認性向上」を目的とした発明が、件数で約2.5倍に(1149件−>2777件)、全体に占める割合で約1.6倍に(14.6%−>23.7%)増加しています。一方、「操作性向上」を目的とした発明の件数は、両期間では、ほぼ同様の割合となっています。
グラフ4
注5) 目的を観点とした分類は、テーマコード「5E501」のうち、Fタームコード「BA01」〜「BA20」のものをカウントすることにより把握できます。