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今でも、マイクロソフト社の多くの製品に、(「?」のみが表示されたものですが)「ヘルプモード」ボタンと同様の機能のものを見ることができます。松下はなぜ、ジャストより明らかにソフトの販売数が多いと思われるマイクロソフトを提訴しなかったのか。
これについては、以下のような理由が考えられる。
1. マイクロソフトが、Windows XPといったOSのライセンス供与の際に松下と交わした使用許諾契約書に、パソコン用OSについて、松下が、マイクロソフトやマイクロソフトの子会社に対し、特許侵害を理由とした訴えを提起しないことを誓約する条項(いわゆる、不争条項(非係争条項とも))が定められている可能性が高く、そのために、マイクロソフトに対して訴えを提起できない。
なお、公正取引委員会は、この不争条項が、不公正な取引方法の第13項に該当し、独占禁止法第19条に違反すると判断しており、2004年7月13日に、マイクロソフトに勧告を行っています。これに対し、マイクロソフトは応諾せず、その後審判に持ち込まれている(
報道発表資料(PDF))。
2. 上記1からすると可能性は低いが、マイクロソフトが、松下に対してライセンス料を支払って、またはクロスライセンス等により、実施許諾を受けているということも考えられる。また、訴訟によって対立が明らかとなったので、表向きはジャストだけが対象のように映るが、実際は多くの企業が警告を受け、ライセンス契約に応じているかも知れない。裁判所の統計(平成16年の全地方裁判所における第1審通常訴訟既済事件数)では、平成16年4月〜同年12月までに終局した事件に関し、知的財産権に関する訴えは全体で521件、そのうち、判決がされずに「和解」となった件数は205件に達する。もちろん、訴えの提起前に和解に応じるケースも多く存在することは想像に難くない。
3. 一例にすぎないが、以前、大手電機メーカーの知財部の方に、侵害訴訟の相手をどのように選択するか伺った際の回答は、以下のようなものであった。
・通常、いわゆる大手企業には戦いを挑まない。法務関係の人材や、その知識・経験が豊富で、訴訟費用も潤沢であるため、こちらが勝訴する可能性が相対的に低く、さらに長期戦になりやすいから。
・小規模な企業に対しては提訴しない。侵害製品の販売数が小さく、損害賠償請求等をするメリットが少ないから。
したがって、ターゲットは、製品の販売数もある程度大きな中規模の企業ということになる。このことは、企業としては当然の戦略なのかもしれない。
4. 判決が出されたことにより、松下がジャストに対して提訴したことが表面化したが、松下は、他の企業に対しても交渉や提訴を行っていたかもしれない。裁判の前に和解が成立したり、裁判中に和解となった場合は、こうした事実が世間に公表されることは(通常)ないので、分からないのである。すなわち、松下が、当初からジャストだけをターゲットにしていたとは限らない。
その他、この質問に関連しては、以下のような趣旨の意見が多く見られた。
「国内のメーカーの首を絞める原因を作るようなものだと思う。連携して海外メーカーに立ち向かう姿勢が欲しい。」