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特許権者は、特許権の設定登録後、明細書または図面の記載事項の訂正を目的として訂正審判を請求することができる。ただし、この訂正には、第三者に不測の不利益を与えないよう、訂正後の内容が、出願当所の明細書・図面の範囲内であることといった制限が設けられている。 |
ここでは、特許請求の範囲の請求項1についてのみ示す。下線部が追加された部分。
・訂正前の請求項1
アイコンの機能説明を表示させる機能を実行させる第1のアイコン,および所定の情報処理機能を実行させるための第2のアイコンを表示画面に表示させる表示手段と、
前記表示手段の表示画面上に表示されたアイコンを指定する指定手段と、
前記指定手段による,第1のアイコンの指定に引き続く第2のアイコンの指定に応じて,前記表示手段の表示画面上に前記第2のアイコンの機能説明を表示させる制御手段と
を有することを特徴とする情報処理装置。
・訂正後の請求項1
アイコンの機能説明を表示させる機能を実行させる第1のアイコン,および所定の情報処理機能を実行させるための第2のアイコンを表示画面に表示させる表示手段と、
前記表示手段の表示画面上に表示されたアイコンを,前記表示画面上に表示されるカーソルを連動させる移動が可能なポインティング装置により、指定する指定手段と、
前記指定手段による,第1のアイコンの指定に引き続く第2のアイコンの指定に応じて,前記表示手段の表示画面上に前記第2のアイコンの機能説明を表示させる制御手段とを有し
前記制御手段は、前記指定手段による第1のアイコンの指定に引き続く前記ポインティング装置の移動を、前記第1のアイコンの指定を伴うものとして前記表示手段の表示画面上に表示し、前記ポインティング装置の移動が前記第1のアイコンの指定を伴うものとして表示された状態で、前記第2のアイコンの指定がなされたことを、前記第1のアイコンの指定に引き続く前記第2のアイコンの指定として検出するものである
を有することを特徴とする情報処理装置。
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・訂正の概要は、以下のようなものである。
<1>指定手段を、前記表示画面上に表示されるカーソルを連動させる移動が可能なポインティング装置により指定するものに限定し、
<2>制御手段を、前記指定手段による第1のアイコンの指定に引き続く前記ポインティング装置の移動を、前記第1のアイコンの指定を伴うものとして前記表示手段の表示画面上に表示するものに限定し
<3>制御手段をさらに、前記第1のアイコンの指定を伴う旨の表示がされた状態で前記第2のアイコンの指定がなされたことを、前記第1のアイコンの指定に引き続く前記第2のアイコンの指定として検出するものに限定した。
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特許庁は、訂正審判において、松下に対し、訂正が所定の条件を満たしていないので認められない旨の訂正拒絶理由通知を送付した(平成15年10月16日起案、平成15年10月21日発送)。請求項1の訂正に関する拒絶理由は、概略以下の通り。
・出願時点の明細書または図面(願書に添付した明細書または図面)には、機能説明アイコンをポインティング装置をプレスして指定し、ドラッグして機能説明対象のアイコン位置でリリースすることにより、当該説明対象の機能説明がなされるという態様が記載されているだけで、「制御手段」が、「前記指定手段による第1のアイコンの指定に引き続く前記ポインティング装置の移動を、前記第1のアイコンの指定を伴うものとして前記表示手段の表示画面上に表示し、前記ポインティング装置の移動が前記第1のアイコンの指定を伴うものとして表示された状態で、前記第2のアイコンの指定がなされたことを、前記第1のアイコンの指定に引き続く前記第2のアイコンの指定として検出するものである」旨の記載を見いだすことは出来ない。
・上記明細書または図面に記載された事項を抽象化することにより、「制御手段」について上記訂正事項のように表現することが可能であるとしても、当該明細書または図面において、そのような抽象化はなされておらず、そのような記載がない以上、上記訂正事項は、当該明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であるとは認められない。
・よって、特許法第126条第2項の規定に適合せず、訂正は認められない。
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訂正拒絶理由通知の、
「機能説明アイコンをポインティング装置をプレスして指定し、ドラッグして機能説明対象のアイコン位置でリリースすることにより、当該説明対象の機能説明がなされるという態様が記載されているだけで...」や
「上記明細書または図面に記載された事項を抽象化することにより、「制御手段」について上記訂正事項のように表現することが可能であるとしても、当該明細書または図面において、そのような抽象化はなされておらず...」
といった表現からすると、特許庁審判官は、訂正事項によって新たに限定された部分に関してではなく、請求項1に記載された「指定」という概念が広すぎであり、実質的にはプレス、ドラッグ、リリースであるとの指摘をしているのではないかという見方ができる。
そのように考えると、訂正前の請求項1の「指定」に関しても同様の問題が内在している可能性がある。
その後、松下は、この拒絶理由に1度も反論をすることなく、訂正審判の請求を取り下げたので、アイコン特許の権利範囲は、従来のまま存続することになった。また、松下によるアイコン特許訴訟の提訴は、この取り下げの約7ヶ月半後にされている。
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