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X 訴訟の概要
(2006.3.27)
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2004年7月23日、JALIによって提起された特許権侵害訴訟(平成16(ワ)15616)は、2005年11月30日、JALI側が請求の放棄書を提出することにより、被告であるANA等の全面的な勝利で決着した。突然の請求放棄という形でこの争いに終止符が打たれたため、裁判所による最終的な判断が示されることはなかったが、訴状や準備書面などから明らかとなることも多い。
ここでは、訴えの概要と、「ANA@desk」が特許権の技術的範囲に属するか否かに関する双方の主張を見てみることにする。なお、特許の有効性に関して、ANA側は、無効審判とほぼ同様の理由で、両特許が無効である旨の主張を展開している。
(1)訴えの概要
・訴状 2004年7月23日提出
・原告 株式会社日本航空インターナショナル(JALI)
・被告
全日本空輸株式会社(ANA)
エアーニッポン株式会社
株式会社エアーニッポンネットワーク
・損害賠償請求額
全日本空輸株式会社(ANA) 89億7700万円
エアーニッポン株式会社 9億8800万円
株式会社エアーニッポンネットワーク 3100万円
・原告の特許権
A 447特許(特許第3400447号) 請求項1に係る発明(A1)、請求項2に係る発明(A2)
B 409特許(特許第3179409号) 請求項1に係る発明(B)
・訴訟物の価額 156億6132万6388円
・貼用印紙額 2169万円
注1) ANAに対する損害賠償請求額には、補償金請求権に基づく請求額(1億6700万円)も含まれる。
(2)技術的範囲の属否について
(2)−1 ANAの主張
・2000年〜2001年にかけての交渉において、ANAは、ANA@deskで利用する搭乗券発券機は、その情報処理の方法が、409特許とは大きく異なることを主張する。具体的には以下の主張。
2001年6月8日、回答書に関する補足書
・ANAの搭乗券発券機は、読み取った利用者ID情報をホストに送信する機能と、ホストからの指令に基づいて搭乗券を発券する機能しか有さない。
・したがって、409特許のような照合機能や発券結果送信機能は備えていない。さらに、待機指令機能も有さない。
・一方、発券結果送信機能と類似の機能は、空港にある自動改札機が備えている。
2001年7月11日、JALIからの質問に対する回答
・(以前、当方の発言における)「発券結果をホストに送信している」とは、発券機にて航空代金を精算した場合の意である。
・409特許の待機指令機能は、当初明細書によれば「航空券予約が成立すると、ホストコンピュータ11は、成立した航空券予約情報と当該航空券予約に付随するID情報とを、当該航空便の出発空港に設けられた搭乗券発券機15に送信する。これによって航空券予約手続は完了する。」と記載されている。これに対し、ANAの搭乗券発券機は、予約成立と同時に出発空港に予め通知するのではなく、搭乗券印刷時に初めて関連する情報を送信する。
・自動改札機に関して、より厳密には、予約時に予約情報とは別に作成し、ホストに蓄積されていた運賃種別、企業別ID情報の精算情報と、自動改札機が読み取り、送信した精算情報の照合番号とを
ホストが照合し、
照合された精算情報のみを蓄積することによって企業別の請求額を算出している。
(2)−2 JALIの主張
・JALIは、2004年7月23日の訴状において、自社の有する447特許および409特許の構成と、ANA@deskの構成を対比し、ANA@deskがこれらの特許権を侵害するとの主張を行っている。具体的には以下の主張。
447特許との対比
・ANAの搭乗券発券機は、読み取った利用者ID情報をホストに送信する機能と、ホストからの指令に基づいて搭乗券を発券する機能を有するが、「照合」を具体的に実現するプロセッサやプログラムを有していないとの認識に立ちつつ、「搭乗券発券機が「照合」することは、「搭乗券発券機が照合する上で必要なハードウエア及びソフトウエアのすべてを有する」という狭い意味に限定的に解釈されるべきでない」として、ANA@deskが447特許(A1)の技術的範囲に属する旨を主張する。
409特許との対比
・「照合」については、447特許と同様の主張。
・409特許(B)の要件D2が「読取った利用者ID情報とホストコンピュータから送信された利用者個人のID情報とを照合する照合機能」であるのに対し、ANA@deskは(ホストコンピュータ上で)、「読取った利用者ID情報とホストコンピュータに記録された利用者個人のID情報とを照合している」ものであり、この点で両者は相違するとの認識に立ち、その上で、均等論により、ANA@deskが409特許(B)の技術的範囲に属する旨を主張する。
(3)ANA@deskのシステム
ここで、上述したANAの主張と、
ANA@deskの紹介ページ
に基づいて、ANA@deskのシステム構成と処理の流れを予想してみると、概略、以下の図のようになる。図中では、
U 409特許の概要
のページで示した409特許の第1発明の各構成要素A(A1〜A4)、B(B1)、C(C1〜C4)、D(D1〜D4)に概ね対応する部分を、それぞれ小文字で(たとえば、409特許の「A1」に対応する部分は「a1」と)表してある。
・ANA@deskのシステムは、搭乗券発行機関に設けられたホストコンピュータ(a1)、各ユーザ機関に設けられた汎用パソコン(a2)、空港に設けられた搭乗券発券機(a3)と自動改札機(a5)、及びID記録媒体(a4)を含む。
◆予約フェーズ
・汎用パソコン(a2)で、企業IDとお客様番号(ANAマイレージクラブ会員番号)が入力され、航空券の予約申請が行われると(b1)、ホストコンピュータ(a1)が当該申請を受領し、この申請に基づいて航空券予約を成立させる(c1)。
◆発券フェーズ
・搭乗券発券機(a3)は、予約申請をしたユーザ機関の社員がID記録媒体を挿入したときに、そこからお客様番号を読み取り(d1)、読み取った番号をホストコンピュータ(a1)に送信する(e1)。
・ホストコンピュータ(a1)は、搭乗券発券機(a3)から送信された番号を、蓄積された予約申請情報と照合し(e2)、番号が一致したら、搭乗券発券機(a3)に発券指示を送信する(e3)
・搭乗券発券機(a3)は、ホストコンピュータ(a1)から発券指示を受信すると、そこで指定された搭乗券を発券する(d3)。
◆精算フェーズ
・自動改札機(a5)は、搭乗券の改札を行うと、その改札結果を、ホストコンピュータ(a1)に送信する(e4)。
・ホストコンピュータ(a1)は、自動改札機(a5)から送信された改札結果を蓄積し(c3)、この蓄積された情報により、ユーザ機関毎の請求額を算出する(c4)。
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